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コラム

不当要求への対応について

2022年11月

1 不当要求への適切な対応の必要性

 不当要求者は、要求に容易に応じる者から徹底的に利益を搾取する一方、毅然と対応する者からは速やかに撤退するのが通常です。また、不当要求による経済的利益は不当要求者の活動資金となり、新たな被害者を生み出すことになります。したがって、不当要求への適切な対応が必要です。

2 不当要求への対応

(1) 不当要求行為とは

 不当要求行為とは、義務のないことを行わせ、もしくは権利の行使を妨害する行為(その内容が不当な行為)又は社会通念上許容される限度を超える要求行為(その要求方法が不当な行為)をいいます。たとえ要求内容が正当であっても、その要求方法が不当(暴力による威嚇や害悪の告知を伴うなど)であれば、それは不当要求行為です。

 

(2) 不当要求行為への対応方法

 不当要求の手口は、恫喝して恐怖、不安、困惑等の心理状態に陥らせるというものですので、心理的負担を軽減するために複数(相手方よりも多い人数)で交渉し、交渉役、記録役など役割分担をしておくとよいでしょう。交渉場所は自己の管理権の及ぶ場所又は人目の多い場所を選択し、相手方が指定した場所は避けるべきです。決定権者は同席させるべきではありません(その場での判断を求められるからです。)。湯茶等の接待も不要です(居座りや脅しの道具に使われる可能性があるからです。)。

実際の交渉の場面では、相手方(氏名、住所、所属、連絡先等)、事実関係(5W1Hを押さえる)、要求内容をできる限り具体的に把握します。要求内容は、相手方の口から言わせ、勝手に判断しないようにしましょう(例えば、誠意を見せろ=金銭目的など)。

 交渉においては、要件に見合った対応時間を決め、時間がきたら打ち切るようにします。また、曖昧な言動や安易な妥協・迎合(世間話等も含めて)、相手方との議論や論争はせず、慎重に言葉を選んで、筋の通った対応をします。不当要求者は揚げ足を取って議論をすり替えるプロであるので、失言や言葉尻を捉えて攻撃されてしまうからです。ミスや落ち度が明確でない段階での謝罪はせず、「検討します」、「考えてみます」など、相手方に期待を抱かせるような発言や、「結構です」、「いいです」といったどちらにも解釈できる曖昧な発言も避けるべきです。悪用されるリスクが大きいため、「念書」「詫び状」などは絶対に書かず、名刺等への署名押印も避けるべきです。

 検討に時間を要する場合でも、安易に回答期限を約束するべきではありません。何らかの理由で期限を守れないと、そのことが新たな不当要求のネタになるからです。

 最後に、後の対応のため、交渉の内容はできる限り正確に記録化しておくべきです(相手方に明示して録音録画をすることが望ましいです。)。

 以上のような不当要求対応のための体制を普段から整えておくことが肝要です。

3 法的対応

 不当要求が、具体的な金銭の要求であったり、暴行・傷害等に及んでいたりする場合には、刑事事件化(告訴・告発)することを検討します。

 また、民事上の対応として、面談強要等の禁止を求める仮処分を申し立てること、実際に損害が発生している場合は損害賠償請求も検討します。

4 早期相談の必要性

 以上のような対応については、早期に弁護士、警察、暴追センター等に相談することが肝要です(迷わず、恐れず、すぐ相談!)。当事務所の弁護士は、民事介入暴力対策や不当要求対応についての豊富な経験と実績を有していますので、お気軽にご相談ください。

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